医行為を提供しない見解について

日本ツアーナースセンターでは、ツアー中の医行為についてご相談を頂戴しますが、当社では以下の通り考え、医行為の提供をしないという前提でサービス提供しています。ご理解の程、よろしくお願いいたします。

【記】

  日本ツアーナースセンターにおいて、看護師による、たんの吸引、酸素吸入を開始、経管栄養、胃瘻・腸瘻栄養等の医行為、または同医行為を医師の指示(指示書・手順書等)があれば提供が可能なのか

1.概要

看護師が、主治の医師の指示に基づいて一部の医行為を行うこと自体は諸法令により禁止されるものではありませんが、一方で、医行為が行える場所は諸法令により限定されており、電車、タクシー、飛行機、送迎バス等においては医行為を提供できないものと考えられるため、看護師による医行為または同行為を医師の指示のもとであっても提供はできません。但し、電車、タクシー、飛行機、送迎バス等においても、救急時の応急処置に限って行うことができると考えます。なお、救急時の応急処置を行う場合には、主治の医師の指示は不要です。

2.根拠

(1) 医療法

医療の提供場所については、病院等の医療提供施設または医療を受ける者の居宅等に限定されています(医療法1条の2第2項)。そして、この「居宅等」に該当するには、医療を受ける者が療養生活を営むことができる場所であることが規定されています(医療法施行規則第1条第5号)。
電車、タクシー、飛行機、送迎バス等については、療養生活を営むことができる場所とは通常は考え難く、これらの場所で医行為を提供することは、上記の諸法令に違反する可能性が高いと考えております。

(2) 保健師助産師看護師法

看護師が行う医行為については、臨時応急の手当であれば、主治の医師の指示がなくとも提供できる旨が規定されております(保健師助産師看護師法第37条ただし書)。

3.家族が行う医行為について

医師でない者が医業を行うことは、医師法第17条において原則として禁止されており、ここでいう「医業」とは、「医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(医行為)を、反復継続する意思をもって行うこと」であると解されています(平成17年7月26日付医政発第0726005号厚生労働省医政局長通知)。また、この規制については、ご家族の方が医行為を行う場合にも原則として適用されます。
一方で、法律の解釈上、(1)目的の正当性、(2)手段の相当性、(3)法益衡量、(4)法益侵害の相対的軽微性、(5)必要性・緊急性を満たしていれば、違法性が阻却されるとする考えがあり、家族が行う医行為においては、インシュリン注射やたんの吸引について過去に参考にされています(中医協 診-1-2 17.3.30、平成15年4月15日付 看護師等によるALS患者の在宅療養支援に関する分科会 第6回)。

以上より、日本ツアーナースセンターにおいては、そのサービス提供の多くに移動が含まれ、医行為が行える場所ではないと考えられるため、臨時応急の手当、すなわち、救急時の応急処置のみに限定してサービスをご提供しており、医行為が必要な場合は、主治医にご相談いただいた上で、自分自身や家族の同行により対応していただいております。

以上

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